家族と一緒にいたい。
でも、いつも同じ場所で、同じことをしていたいわけではない。
ソファでくつろいだり、
窓辺でぼんやりしたり。
仕事をしたり、友人と食事をしたり。
この住まいでは、2階を大きなひとつながりの空間としながら、
その中に、少しずつ距離の違う居場所をつくりました。
同じことをしていなくても、どこかに家族の気配がある。
一人で過ごしたいときも、家から切り離されない。
今の暮らしにも、その先の暮らしにも。
そのとき心地いい場所を選べるように。
Room to Be…
この家には、そんな余白を残しています。

01|一緒にいても、それぞれでいられる
2階は、リビング・ダイニング・キッチンからインナーテラスまでを、できるだけひとつながりに感じられるように計画しました。
家族が集まるソファやダイニングだけでなく、窓辺のベンチやデスク、少し離れたインナーテラスなど、過ごし方の違う場所を点々とつくっています。

キッチンに立ちながら家族の様子を感じたり、窓辺で空を眺めたり。

もう少し一人になりたいときには、階段下のデスクへ。

そこは少し籠れるけれど、完全な個室ではありません。
階段の向こうには2階の気配があり、ほどよく家族とつながっています。
「一緒に過ごす」と「一人で過ごす」を、部屋で分けすぎない。
同じ家の中で、そのとき心地いい距離を選べることを大切にしました。
02|囲まれていても、明るくひらく
この敷地は、道路側を除く三方を建物に囲まれています。
そこで、家族が長く過ごす場所を2階に。
ただ窓を大きくするのではなく、周囲からの視線と、外へ抜ける方向を一つずつ見ながら窓を配置しました。

隣家と近い南・北・東側には、光を取り込みながら視線をやわらかく遮る型ガラスを。
その中でも、建物の隙間から空へ視線が抜ける場所には透明ガラスを使っています。
窓辺に座ったときに空が見えること。
室内の奥からでも、その先に明るさを感じられること。
さらに、リビング・ダイニングは勾配天井とし、視線が上へ抜けることで、限られた面積以上の広がりを感じられるようにしました。

1階にも、できるだけ自然光を。
階段室の南側に設けた大きな窓から入る光が、ストリップ階段の間を抜け、暗くなりやすい1階の廊下まで届くようにしています。

開放感は、窓の大きさだけで決まるものではありません。
どこから光を入れ、どこへ視線を抜くのか。
周囲との距離を見ながら、必要なところだけをひらいています。
03|人が集まる、少しラフな場所

LDKの一角には、室内でありながら、少し外のように使えるインナーテラスをつくりました。
家族で食事をしたり、友人を招いたり。
天気を気にせず、ちょっとしたBBQを楽しむこともできます。
床はタイル、壁と天井はラワン仕上げに。
多少ラフに使っても気になりにくく、壁にはフックや棚を取り付けたりと、DIYが好きなご主人がこれから自由に手を加えていける場所でもあります。

専用の収納も設け、使ったものをLDKや階段を通らずにそのまま片づけられるように。
LDKとはガラスで緩やかに仕切りながら、空調や換気も含めて、一年を通して使いやすい場所として計画しています。

これからの使い方のイメージです。
04|頑張らなくても、なんとなく整う
頑張らなくても片づけやすく、自然と整っていく家に。
そんなご要望から、収納の量だけでなく、家事の流れに合わせて“しまう場所”を考えました。

洗面・脱衣室には、室内干しのできる物干しとガス乾燥機を設置。
洗う、干す、乾かす。
そのすぐ近くにファミリークローゼットを置くことで、洗濯物を家の中で大きく移動させずに済む動線としています。

2階のLDKにも、細かなものをしまえる造作収納を多めに。
きれいに暮らすために、毎日きれいに片づけ続けなくてもいいように。
暮らす人が頑張る前に、家の方で少し助けられること。
そんなことも、暮らしやすさのひとつだと考えています。

05|今の暮らしだけで、決めきらない
今は、2階を暮らしの中心に。
でも、家族のかたちも、身体も、暮らし方も、ずっと同じではありません。
だからこの家では、将来をひとつに決めてしまうのではなく、そのとき選べるように準備しておくことを大切にしました。

玄関には、少し広めの土間とベンチを。
靴を履くときに腰掛けたり、ご両親が訪れたときに使ったり。
年齢を重ねた先にも、自然に使える場所にしています。

→子ども室
→将来は夫婦の寝室へ

→ 将来は1階のリビングへ
部屋の名前を固定するのではなく、時間とともに役割を変えられる場所として考えています。
また、寝室の近くにはトイレを配置し、毎日使う階段も、蹴上を低く・踏面を広めにした緩やかな勾配に。
今の上り下りのしやすさと、年齢を重ねた先の負担の少なさ、その両方を考えています。

現在ファミリークローゼットとして使っている場所には、将来キッチンを設置できるよう、給排水管やレンジフードのための換気経路をあらかじめ準備しています。
必要になってから壁や床を大きく壊すのではなく、見えなくなる今のうちに、その選択肢を残しておくためです。
将来は、寝室・リビング・キッチン・水まわりを1階にまとめ、1階だけでも暮らしが完結できるように。
今の暮らしを我慢して将来に備えるのではなく、今を楽しみながら、その先にも無理なく変われるように。
そんな余白も、この家の「Room to Be…」のひとつです。
06|少しくらい、ラフでいい

外壁には、地元・天竜の杉を使いました。
表面を均一に整えすぎず、木そのものの表情を残したまま、ウッドロングエコで仕上げています。

鎧張りとすることで、光の当たり方によって陰影が生まれ、シンプルな外観にも少し立体感を。
年月とともに色が変わり、少しずつシルバーグレーへと馴染んでいく姿も、この素材の楽しみです。
木の外壁は、一枚ずつ取り外して補修できることも、長く使っていく上での大切な理由のひとつです。

室内にも、オークの床やラワンの造作、しっくいクロスなど、できるだけ自然な素材を選びました。
新築した日のきれいさを、ずっとそのまま守ることだけが目的ではありません。
少しくらい傷がついても、色が変わっても。
使いながら、少しずつ家族のものになっていけばいい。
端正だけど、気取らない。
この家には、そんな素材の方が似合うと思いました。
07|見えないところにも、理由がある
家が完成すると、ほとんど見えなくなってしまうところがあります。
構造。
断熱と気密。
雨を防ぐこと。
湿気を逃がすこと。
空調の通り道。
そして、いつか設備を交換するときのための余白。
この住まいは、許容応力度計算による耐震等級3、断熱等級6。
UA値0.39W/㎡K、気密性能は中間測定時でC値0.2cm²/㎡。
窓にはオール樹脂・Low-Eトリプルガラスを採用し、各階1台のルームエアコンで家全体の温熱環境を整える空調計画まで含めて設計しています。
屋根や外壁は、雨を防ぐだけでなく、内部に湿気をためず、きちんと逃がせるように。
また、外周部には配線・配管のためのスペースを設け、断熱・気密層をできるだけ傷つけず、将来の交換や変更もしやすい構成としています。
太陽光発電やHEMSも、設備を載せることそのものが目的ではありません。
発電した電気をできるだけ自宅で使い、天気予報と連動して昼間にお湯を沸かすなど、つくったエネルギーを暮らしの中で無理なく使うことまで考えています。
BELS評価では、再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率37%、太陽光発電を含めると108%となり、『ZEH』の要件を満たしています。
性能の数字を高くするためではなく、
心地よく、長く、直しながら暮らしていくために。
普段は見えないところまで考えることも、この家の心地よさをつくる理由のひとつです。
この住まいのような暮らしを考えている方へ
家づくりは、必要な部屋を並べることだけではありません。
家族と過ごす場所も、一人で落ち着く場所も。
今の暮らしも、子どもの成長や、その先の暮らしも。
そのときどきに心地いい距離や過ごし方を選べるように、
暮らし方を決めすぎず、少し余白を残しておくことも大切だと考えています。
岡本工務店では、間取りやデザインだけでなく、敷地の光や視線、家事や収納、将来の変化まで考えながら住まいを設計します。
そして、耐震・断熱・空調・耐久性など、完成すると見えなくなる部分まで含めて、その心地よさに、きちんと理由のある住まいを考えています。
この住まいに共感していただけたなら、
これからどんなふうに暮らしたいのか、ゆっくりお話しできればと思います。